Grand Banks 70周年を迎えて(前編)
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香港の小さな造船所から世界的ブランドへ
2026年、Grand Banksは創業70周年という大きな節目を迎えました。
現在では世界中のクルージング愛好家から高い評価を受けるGrand Banksですが、その歴史は1956年、香港の港町に設立された小さな造船会社「American Marine Ltd.」から始まります。
華やかなブランド戦略やマーケティングから生まれた会社ではありません。
「本当に海で使える、信頼できる船を造る。」
そのシンプルな理念が、70年経った今もGrand Banksのものづくりの原点となっています。

当時としては珍しかった「香港で造る高品質ボート」
第二次世界大戦後、世界のプレジャーボート産業はまだ発展途上でした。
当時、高品質なヨットといえば欧米製というイメージが強く、アジアで建造されるボートは決して高い評価を受けていませんでした。
そんな時代にAmerican Marineは香港で本格的なクルージングボートを建造し始めます。
しかも設計はRay HuntやSparkman & Stephensなど、当時すでに世界的な評価を受けていた設計家たち。
品質を最優先にしたものづくりは徐々に評判を呼び、「信頼できる造船所」として確かな評価を築いていきました。
現在でもGrand Banksが"Quality First"を大切にしている背景には、この創業当時の姿勢があります。
Grand Banks 36が世界を変えた理由
1964年に発表されたGrand Banks 36は、今振り返ると歴史的な一艇でした。
一見すると派手さはありません。
流線型でもなければ高速艇でもない。
しかし、その設計思想は当時としては画期的でした。
「遠くまで安全・快適に航く」

それまで多くのパワーボートはスピード競争へ向かっていました。
一方、Grand Banks 36は
燃費の良さ
長距離航海
高い居住性
優れた耐航性
を重視した設計でした。
現在では当たり前になった「トローラーヨット」というジャンルですが、その原点を築いた一艇としてGrand Banks 36は世界中で知られています。
これはGrand Banksというブランドの歴史だけでなく、クルージング文化そのものを変えたモデルと言っても過言ではありません。
時代を先取りしたAlaskanシリーズ
1968年にはAlaskanシリーズが登場します。
ここで採用された「レイズドパイロットハウス」は、現在では多くのロングクルージング艇で採用されているレイアウトです。
レイズドパイロットハウスとは?
操船席を一段高く配置することで、
前方視界が良くなる
リビング空間と操船空間を分けられる
悪天候でも操船しやすい
というメリットがあります。
今では一般的なスタイルですが、当時は非常に先進的な設計でした。
急成長の裏で訪れた試練
Grand Banksの人気は急速に高まり、生産能力を拡大するためシンガポールにも工場を建設します。
1971年には年間400艇以上を建造するまでに成長しました。
しかし急成長は、会社の経営にも大きな負担をかけていました。
設備投資や事業拡大が先行し、ついには経営危機を迎えます。
一時は会社の清算も検討されました。
しかし工場には十分な部品在庫が残っており、さらに燃費の良いGrand Banksはオイルショックの影響も比較的小さかったことから、多くの関係者が「この会社は必ず立て直せる」と判断しました。
ここで会社を支えたTony Flemingをはじめとするスタッフたちの存在は、現在でもGrand Banksの歴史の中で重要な出来事として語り継がれています。
70年という歴史の中で、素材や技術は変わりました。しかし、「海を安心して旅するためのヨットを造る」というGrand Banksの哲学は、創業以来変わっていません。
現在のGrand BanksやEastbayにも、そのDNAは確かに受け継がれています。
次回は、Eastbayシリーズの誕生から、最新モデルへと続くGrand Banksの進化をご紹介します。
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