【試乗レポート】X-Yachts最新モデル「XR 41」 ー デンマークで感じた進化と可能性
- ENMARINE
- 7月7日
- 読了時間: 3分
6月某日、X-Yachts GB & Ireland のStuart Abernethy氏とNorth SailsのRuaridh Wright氏が、デンマークにあるX-Yachts本社の造船所を訪れ、新型モデル「XR 41」の試乗に臨みました。

当日のバルト海は風速18〜26ノット、南西の風で比較的穏やかな海面。セイルはスクエアトップのメイン、No.2ジブ、そしてA2アシンメトリックスピネーカーを使用。まさにパフォーマンスヨットの真価が試される好条件でした。
歴代X-Yachtsと比べて感じた“進化”
Stuart氏は過去20年間にわたり、X-Yachtsが手がけた全ての新型艇に乗ってきた経験があります。そんな彼が「これはまったく新しいステージに突入した」と語るほど、XR 41はデザイン・操作性・性能面で革新的な進化を遂げていました。
船上に足を踏み入れると、X-35やX-41など過去モデルのレース艇らしさが感じられる一方で、最新のテクノロジーが凝縮された新次元のパフォーマンスヨットであることがすぐに伝わってきたとのこと。たとえば、多機能ボタンによるセイルトリム操作は、単なるギミックではなく、現代の高性能セイルを最大限に活かすために欠かせない機能となっています。
セーリング特性と印象:Ruaridh氏のコメント
1日だけの試乗ながら、Ruaridh氏はXR 41の第一印象を「多用途性(Versatility)」と表現。安定性の高い船体形状と水中ライン、柔軟なインテリア・キール設定により、オフショアレース仕様にも、快速クルーザー仕様にも仕上げることが可能と評価しています。
彼はこう語ります:
「VMGダウンウィンドではしっかりとスピードを維持し、TWA130度でプレーニングを開始。上り角18~20度で安定してセイルできる点は非常に優秀。コントロール系統も多く、学習は必要だが、慣れれば見返りは大きい艇です。」
また、幅広のビームとバウスプリット、広めに取られたシュラウド配置により、レーチング時のセッティング幅も広く、ツインヘッディングにも十分対応できる柔軟性があります。

シングルラダー設計とその狙い
最近のIRCレース艇ではツインラダーが主流になりつつありますが、XR 41はシングルラダーを採用。これについてもRuaridh氏は肯定的に評価。
「ラダーは比較的前方に配置され、リグは大きなレーキを持っている。そのため上りでのラダー角も適正で、アップウィンド性能において有利になる。クルージングでもエンジン操作時にコントロール性が高まるという利点がある。」
市場展望
XR 41は、カスタマイズによってフルクルーレースからショートハンド・クルージングまで対応可能。Stuart氏は、レース仕様だけでなく、より快適なインテリアや簡素化されたセイルプランによる「デチューン仕様」にも大きな需要があると見ています。
Ruaridh氏も、「XR 41のような“住めるレーサー”はぴったりのタイミングで登場した」とコメント。さらに、条件によってはダブルハンドレースでも可能性を秘めていると語りました。

現代セーラーに捧ぐ「多機能レースクルーザー」
XR 41は、その多様なスペック設定と操作性、そして実用性を兼ね備えたまさに“セーラーのためのスイスアーミーナイフ”。
今後、日本国内でもこうした「走れて、住めて、操れる」新世代のレースクルーザーが注目を集めることは間違いありません。X-Yachtsの新たな挑戦に、ぜひご注目ください。
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